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税理士の木村聡子(きむらあきらこ)先生

毎年10万社以上新しい法人が生まれていると言われています。
今回は起業1年以内の新人経営者が気になる『顧問税理士は必要?』『税務調査って突然来るの?』などの税務関連の疑問を税理士の木村聡子先生にインタビューしました。
起業に向けて準備中の方にもご参考いただける内容になっています。

 

交際費&ダブル給与編

なんとなく計上するのにびくびくしてしまう人が多い『交際費』。きちんとルールを知って迷いなく費用にしましょう。
自分の会社以外からも給与をもらった場合の注意点、いつの日かやって来る税務調査についてもお伺いしました。

交際費は計上するのに規制がある?ルールがあやふや

森「交通費や消耗品などと違って、交際費は経費にできるのかできないのか考えてしまいます。『年間800万円まで』とか『飲食は1人5,000円まで』とかつぎはぎで人から聞いた情報はあるのですが、きちんとした基準はどうなっているのですか。」

木村「まず、『交際費が年間800万円まで』についてですが、資本金が1億円以下の中小企業にだけに設けられているルールです。大企業などは、元々は交際費というのはどれだけ支出があっても会社の経費にすることができなかったんですね。」

森「え!そうなんですか。」

木村「でも今は税法が改正されてとても優遇されているので、ざっくり言うと中小企業は、年間800万円までは損金算入することができるという決まりになっています。大企業も接待飲食費の50%までは損金で落とせることになりました。」

森「そうだったんですね。では『飲食は1人5,000円』というのは関係ないということですか。」

木村「それはまた別のルールです。飲食代の場合は、一人当たりの金額が5,000円以下であれば全額経費にできるんです。つまり『交際費』に計上しなくていいという意味なんです。1人5,000円以下だった飲食費は『会議費』に計上します。そうすれば先ほど言った800万円の枠の対象にはならないです。」

交際費飲食

森「1人当たり5,000円を超えない限りは会議費、超えてしまえば交際費に計上するので、800万円の枠が減っていくということなんですね!」

木村「そうですね。本来『交際費』というのは言葉通り、社外の人を対象とした接待で飲食をしたり、贈り物をしたり、得意先のイベントに参加したりした経費を指しますが、そのうちの飲食代に関してだけは5,000円のルールが適用されます。」

森「飲食代のレシートには相手の会社名と参加人数を書いておくって言われているのはそういうことなんですね。レシートに手書きしておけば、帳簿には記載しなくても大丈夫ですか。」

木村「私は帳簿に記載しておくことをおすすめしていますが、レシートや請求書でもいいということになっています。記載事項は飲食のあった年月日、参加した者の氏名又は名称、参加者数を記載するという決まりになっています。今はとても交際費の計上に関して優遇されているので、年間800万円以下であれば1回の支払がいくらであっても全額経費にすることができます。でも元々は5,000円までという制限がありました。やがて今の優遇措置が終わる時がきますので注意が必要です。接待飲食費に関するFAQが国税庁HPにありますので参考にしてください。」

自分の会社とは別法人から給料をもらっているが年末調整や確定申告はどうすればいいの?

森「設立したばかりだと、収入のために別法人で雇用関係を結んで給料をもらっているという社長さんは結構多いですよね。他にも、共同事業をすることになって別法人を立ち上げてそこからも給与があるとか、そう方もよくいらっしゃいますね。その場合はどちらかの会社で年末調整をしていれば確定申告は必要ないんですか。」

木村「どちらかの会社で年末調整をしていたとしても、確定申告は必要になります。でもメインの法人で年末調整をしていて、他方の法人の給与が年間20万円以下だった場合に限っては確定申告は不要です。」

森「20万円ルールというやつですね。」
※20万円ルールについてはこちらをご確認ください。

木村「そうですね。ただ、税金をきちんと計算したら、確定申告をすれば税金が返ってくる場合もあるので一度計算してみてから確定申告をするかしないか決めたほうが良いです。」

森「そうか。返ってくる場合もあるんですね。」

源泉所得税の税額表(月額)

源泉所得税の税額表(月額)

木村「実は源泉所得税の計算に使われる税率には2種類あるんです。源泉所得税の税額表に『甲欄』と『乙欄』があって、同じ給与でも税額が違うんです。給与(社会保険料を引いた後)が290,000円~293,000円の人の場合、メインの会社では扶養家族がいなければ8,040円徴収ですが、サブの会社では乙欄で計算するので50,500円になってしまいます。」

森「多めに源泉されているんですね。」

木村「そうです。ですので、例えサブの会社の給料が20万円以下の少額であっても税金が還付される可能性があるので確定申告をしたほうが良いということになります。」

森「そうなんですね。独立したばかりの方だと、会社員時代に自動的に源泉徴収されて年末調整が行われていたので、あまりその辺りの知識がない方が多いと思うのですが、確定申告ではなくて両方の会社で年末調整をしてしまった場合はどうなるんですか。」

木村「両方の会社で年末調整をするというのはNGなんです。年末調整というのは1社でしかできないというのが原則なので、どちらかの会社が誤って年末調整をしているということになりますよね。」

森「そうですね。」

木村「でも、本人が確定申告してきちんと是正していれば、まあ「結果オーライ」で税務署も文句を言わないことが多いです。ただ、両方で年末調整をしていた場合は必ず追加で税金を納付することになります。」

森「どうしてですか。」

木村「年末調整の時には『給与所得控除』や『扶養控除』という形で所得から引き算が行われているので控除を受けた分だけ少ない所得金額で税金が計算されます。両方で年末調整をしたということはこの控除がダブルで行われてしまったことになります。本来納めるべき税額より少なくなっているんです。ですので、確定申告をしたときに、追加で納めることになってしまうんです。」

森「なるほど。追加で払わないといけなくなるんですね。じゃあ確定申告をしないで黙っておくことはできないんですか。」

木村「給与所得者の場合は、必ず税務署にデータが上がりますので2社から年末調整を受けていることも税務署で把握されてしまいます。そしたら、納税額が過小であることが分かって税務調査が来るか、『お尋ね』で確認書類が郵送されてくると思います。ですので、両方で年末調整をしてしまった場合は早めに確定申告をしてください。3月15日までに提出をすれば、『過少申告』ということにはなりませんので。」

森「そうなんですね。」

木村「はい。サブで給与をもらうところでは先ほどの税額表の『乙欄』で計算してもらうといういことと、年末調整は1社だけしかできないこと、払い過ぎた税金は確定申告をして取り戻すという手順であることを覚えておいてください。」

税務調査はいつどんな時に来るの?

森「税務調査について伺いたいのですが、設立から3年~7年目に来るというのを聞いたことがあるのですが本当ですか。」

木村「まず基本的に、税務調査は3年に1回来ると言われているんですね。でも業種によって違っていて、建設業であれば毎年来るところもあります。」

森「なるほど。『隠しやすいところには来る』ということですね。」

木村「その一方で10年も20年も来ないというところもあります。税務署も、税務調査に入るのに『費用対効果』を狙っているんです。」

森「へぇ。そうなんですね!」

木村「例えば大赤字のところに調査に来て何か漏れを見つけたとしても結局、追徴課税できないということになると、2日3日職員が2人張り付きで調査してもそういう結果ならば調査しない、という考えですね。」

森「それが税務署にとっての『費用対効果』なんですね。」

木村「税務調査が来るのか、といえばもちろん来る可能性は十分にあります。基本的には3年に1回ですが、初回の税務調査できちんとやっているということが分かればその後の調査の間隔は広がったりします。」

森「なるほど!1回目は大事なんですね。」

木村「税務調査に来る条件としては、まず利益が出ていて売上が順調に伸びていること、経費が増えているなど損益の構造が変わったときですね。あとは業種によって現金商売などで売上を隠しやすいところやグレーなところには来やすいですね。」

森「1回目が来るタイミングはどうなんですか。」

木村「大体、3期分のデータを比較してから判断しますので来るとすれば4期目ですね。」

森「4期目以降で1回目ですね。」

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木村「税務署は決して怖いところではないのです。間違った処理をずっとしていて税額が間違っていた場合、追徴する税額も多くなってしまいますよね。そういった、事業者の負担を減らすという目的もあって、新設の4年目の法人には『指導』のような形で入ります。」

森「なるほど。」

木村「そこで処理の仕方の間違いを指摘したりしてくれるのであまり怖がらなくて大丈夫です。」

森「1回目は『指導』に来るということですね(笑)」

木村「調査後の確定申告書や決算報告書で、その指導したことの改善が見られると、その後しばらく来なかったりします。」

森「来て終わりじゃないんですね。その年の決算や確定申告できちんと成果を見せることが大事なんですね。あの、税理士さんに税務調査の立ち合いをお願いするといくらぐらいかかるんですか。」

木村「それは個々の税理士さんのスタンスによるので一概には言えないのですが、例えば私の場合は1日の立ち合いで5万円プラス消費税です。おそらくこれが平均的な価格だと思います。税務調査は税理士の立ち合いが必須ではないので、調査で何か指摘された場合に、後日交渉や指導を頼むといったこともできます。」

森「そうなんですね。」

木村「でも基本的には、税理士が立ち会った方が安心ですよね。」

続いては税理士さんとの付き合い方やいい税理士さんの選び方を伺いました。
税理士との付き合い方&選び方編はこちら(3/17公開予定)

カテゴリー: マネジメント

mori

楽しいこと、好きなこと、やりたいことだけを選んで生きることに挑戦するために、2014年に会社員を辞めて”フリーランスの事務のお姉さん”を始めました。 自由に楽しくのびのび生きる人を一人でも多く増やしたいと思っております。 プラス・ムーブメントでの担当業務 バックオフィス全般、火付役兼取纏役